「魚へん」の漢字の読み方は、もともと中国にはない漢字だった!
よくお寿司屋(すしや)さんで見かける、魚の名前ですけど、これははもともと中国の漢字(かんじ)にはないものもあるのです。
魚の名前を漢字で書かれていると、何と読むのか読めないものもありますよね。
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漢字は昔、中国から入ってきたものですが、音読(おんよ)みとして国語化(こくごか)した漢字の発音(はつおん)となっています。
魚へんの漢字の多くは、日本でつくり出した漢字で国字(こくじ)と言われるものもあります。
国字とは、漢字の造字法(ぞうごほう)の一つで、それまでの中国語の文字を組み合わせて、意味を持たせたものになります。
その代表的なものは、訓読(くんよ)みということになります。
国字が最も多いのが、「魚へん」の漢字です。
(写真:ビバリー)
ちなみに、「ひらがな」も、平安時代(へいあんじだい)の貴族(きぞく)が難しい漢字を書くのが大変だったため、漢字を簡略(かんりゃく)したものとして、誕生(たんじょう)したものになっています。
○漢字がないから、漢字をつくっちゃった!
漢字はもともとは、中国でつくられ、日本に伝来したものです。
では漢字はいつ日本に伝来したかというと、270年~310年頃に「論語(ろんご)」や「千字文(せんじもん)」が、中国の当時・百済(くだら)から、到来(とうらい)したものとされています。
しかし、一方で紀元1世紀ごろには、朝鮮半島(ちょうせんはんとう)を経(へ)て、日本に伝来してきたという説もあります。
海に囲まれた日本人にとって、魚は身近(みじか)な食料(しょくりょう)で、中国の漢字になかった魚にも、漢字をあてはめる必要があったからです。
それぞれ、魚の名前を決めるときに、意味を持たせてつくっているのです。
例えば、冬に捕れる魚だから「鮗(このしろ)」というように、日本人が自分たちで、漢字に意味を持たせてつくったのです。
(写真:鮗_魚食の日々)
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○「魚へん」の漢字の意味は何?
「魚へん」には、それぞれ意味を持たせて表現されています。
(写真:魚へん湯のみ_www.amazon.co.jp)
意味が分かれば、魚の漢字を読むことができます。
その一部をご紹介します。
・鯨(くじら)
魚へんに「京」は、中国語でも日本でも「くじら」のことになります。訓読みが「くじら」、音読みで「ギョウ、ケイ」となる。
・鮑(あわび)
中国では、塩漬けの魚のことで、日本では魚へんに包(つつむ)むで、鮑を「あわび」と読む。
この漢字は中国語でも鮑(あわび)として使われている。中国では、逆輸入された現代中国語なっている。
・鮎(あゆ)
「アユ」は中国では「占」の意味に「ねばつく」があり、ねばついた魚の「ナマズ」のことになる。
昔日本では、「神功皇后(じんぐうこうごう)」が占いに釣りをしたところ、アユが釣れたことからとされている。
また別の説として、アユは縄張(なわば)りを独占(どくせん)する魚で、その「占(し)める」という意味もある。
・鯵(あじ)
アジは中国では「なまぐさい」ということになる。
日本ではアジはおいしく参(まい)ってしまったからとか、また「参月(さんげつ)で旬(しゅん)な時期に捕れる魚」だからという説もある。
・鱸(すずき)
スズキは、中国語でも日本語でも同じ「スズキ」になる。
スズキの「鱗(うろこ)の黒さ」から、魚へんに「魯(ろ)」をあてはめたという説がある。
・鰤(ぶり)
中国では「魚の名、老魚(ろうぎょ)」のこと。
日本では「ブリは師走(しわす)の12月が旬に捕れる魚」ということから、魚へんに師を入れて読むようになったとされている。
・鯛(たい)
タイは、中国語でも日本語でも同じ「タイ」のこと。
日本の全国の周辺どの海でも、周遊(しゅうゆう)していると言われている。
・鯖(さば)
中国語では「青魚(あおざかな)」とされている。
日本では「サバは青い」から、魚へんに青のサバと読むようになったとされている。
・鰹(かつお)
中国では「鰻(うなぎ)の一種」のこと。
日本では保存食(ほぞんしょく)として、素干(すぼ)しにしたり、「かつおぶし」にすると、堅(かた)い魚という意味とされている。
・鮪(まぐろ)
マグロは広い範囲を囲むように回遊(かいゆう)することから、「マグロは魚の中で魚で、ここに有り」という説がある。
・鰆(さわら)
サワラは、日本では春に旬(しゅん)だからとか、春に産卵(さんらん)のため沿岸(えんがん)へ寄(よ)るからという説がある。
・鱚(きす)
日本でつくられた国字。
喜は「キスのキの音を表わすこと」から、魚へんに喜をあてたされている。
・鰰(はたはた)
日本でつくられた国字。
ハタハタは「雷のよく鳴る季節に産卵のため沿岸に押し寄せる」ことから、神(雷の意味)としたことからと言われている。
・鮴(ごり)
日本でつくられた国字。
ゴリは「川底や岩や小石の下にひっそり休むように生息していること」から、魚が休んでいる、鮴(ゴリ)になったとされている。
・鮭(さけ)
中国では黄河(こうが)に棲(す)むフグのこと。
日本では、圭(三角形にとがった、形が良いという意味)で、鮭(さけ)と読むようになった。
・鱒(ます)
中国語でも日本語でも同じ「マス」のこと。
魚へんに「尊」を「マス」と読むことから、鱒(マス)とされた。
「細長い酒坪の形をした」「かっこいい」を表わしている。
・鰯(いわし)
日本でつくられた国字。
イワシは「他の魚の餌(えさ)になる」からとか、「水揚(みず)げ後、傷(いた)みやすい」ことから、弱い魚という意味がある。
○まとめ
・魚の漢字は、もともと中国の漢字にはないものが使われている。
・漢字は昔、中国から入ってきたものですが、音読みとして国語化した漢字の発音(はつおん)となっている。
・魚へんの漢字の多くは、日本でつくり出した漢字で国字と言われるものがある。
・海に囲まれた日本人にとって、魚は身近な食料で、中国の漢字になかった魚にも、漢字をあてはめる必要があった。
・魚の名前を決めるときに、意味を持たせてつくってとされている。
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