宇宙服の構造はミニ宇宙船!
人類が、月面着陸(げつめんちゃくりく)に成功(せいこう)できたのは、宇宙服(うちゅうふく)の開発(かいはつ)が進んだからと言っても過言ではありません。
宇宙服内(うちゅうふくない)では、酸素(さんそ)もあり、宇宙空間(うちゅうくうかん)でも、快適(かいてき)に作業(さぎょう)を行えるように、温度(おんど)も調整(ちょうせい)できるようになっているのです。
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1966年では、宇宙遊泳(うちゅうゆうえい)するようになり、宇宙服(うちゅうふく)と宇宙船(うちゅうせん)がホースでつながっていて、宇宙船(うちゅうせん)から酸素(さんそ)を送るものでした。
しかし、実際に宇宙遊泳(うちゅうゆうえい)すると、体温(たいおん)が上がり疲労(ひろう)が激(はげ)しく、ヘルメットの中はひどい湿気(しっけ)で内側から曇(くも)ってしまうものでした。
宇宙空間(うちゅうくうかん)には空気(=酸素)がほとんどなく、日かげと日なたの温度差(おんどさ)は200度以上あります。
その上、宇宙には多くの太陽からの放射線(ほうしゃせん)やチリが飛びかっているなど、さまざまな危険(きけん)があるのです。
(写真:www.gamona.de)
こうした環境下(かんきょうか)でも、宇宙で活動(かつどう)できるように、宇宙飛行士(うちゅうひこうし)を守るために宇宙服(うちゅうふく)は改良(かいりょう)され活躍(かつやく)しています。
○きびしい宇宙空間の環境から身を守る宇宙服!
宇宙服(うちゅうふく)は、宇宙飛行士(うちゅうひこうし)が宇宙船(うちゅうせん)の外に出て作業するときに着用(ちゃくよう)するもので、人間を守ってくれるもので、いわば小型(こがた)の宇宙船とも言えるものです。
(写真:www.cinessonne.com)
宇宙服には、次のような役割があります。
・宇宙の真空状態(しんくうじょうたい)、熱環境(ねつかんきょう)、宇宙の塵(りち)などから身を守る。
・どんな作業条件(さぎょうじょうけん)でも、宇宙服内(うちゅうふくない)の温度(おんど)・湿度(しつど)を一定(いってい)に保つ。
・酸素(さんそ)を供給(きょうきゅう)する。
・人間の呼吸(こきゅう)によって生じる有害(ゆうがい)な二酸化炭素(にさんかたんそ)を除去(じょきょ)する。
・宇宙船や地上の管制官(かんせいかん)との音声通信(おんせいつうしん)を行う。
・宇宙塵(うちゅうちり)、紫外線(しがいせん)などの有害(ゆうがい)なものから防護(ぼうご)する。
これらの役割(やくわり)を果(は)たすために、宇宙服は上部胴体(じょうぶどうたい)、下部胴体(かぶどうたい)、グローブ、ヘルメット、冷却服(れいきゃくふく)、生命維持装置(せいめいいじそうち)、通信装置(つうしんそうち)などから、構成(こうせい)されている。
(絵:iss.jaxa.jp)
そのため、宇宙服は約120kgの重さになると言われていのです。
宇宙空間では、快適であっても地球上ではとても、人間が着れるものではないのです。
アポロ時代の宇宙服は、宇宙服の総重量は地上では約82kgでしたが、月面では重力が少ないので、14kgにしかなりません。
○宇宙服の構造は?
宇宙服の生地(きじ)は14層で構成されていて、冷却下着(れいきゃくしたぎ)の3層(そう)及び気密保持(きみつほじ)の2層(そう)、宇宙環境(うちゅうかんきょう)からの保護(ほご)を目的とした9層の全部で14層の生地で構成されています。
(写真:emeraldcoral.blog.fc2.com)
4層~5層は、内圧(ないあつ)の酸素(さんそ)の漏(も)れと服の膨(ふく)らみを防ぐため、ポリウレタンでコートしたナイロンによる機密維持層(きみついじそう)になっている。
6層~14層は、断熱と耐宇宙船機能(たいうちゅうせんきのう)を有する多重層(たじゅうそう)で構成されているのです。
生命維持装置(せいめいいじそうち)は、宇宙服の内部気圧(ないぶきあつ)と温度をコントロールし、酸素や電力を供給している。
通信機能を提供するシステムでは、宇宙服の背中に取り付けられています。
万一故障などで酸素を供給できなくなった場合でも、バックアップ用に二次酸素も装備されているのです。
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○宇宙服の値段はいくらなの?
アメリカで開発した宇宙服の値段(ねだん)は、アセンブリといわれる本体と生命維持装置をあわせると、なんと10億5000万円とも言われています。
スペースシャトルで打ち上げにかかるお金は、約450億円と言われているので、その約2%が宇宙服にかかる費用ということになります。
スペースシャトル用にアメリカが開発した宇宙服は、宇宙服アセンブリが100万ドル(約1億円)、生命維持装置が900万ドル(約9億5千万円)となっています。
グローブは宇宙飛行士ごとに用意され、一つ2万ドル(約220万円)もすると言われています。
(写真:www.masaakix.interlink.or.jp)
○宇宙でシャワーを浴びるとおぼれるって本当!?
宇宙には重力(じゅうりょく)がないので、宇宙船での生活にはさまざまな工夫(くふう)が必要になります。
水は上から下に流れないので、シャワーや蛇口(じゃぐち)から水を出すことができません。
手や顔の汚れは、アルコールや液体石鹸(えきたいせっけん)を含くませた濡(ぬ)れタオルで拭(ふ)きます。
もし顔に水をかけると、水は簡単(かんたん)には、顔から離れないので、窒息(ちっそく)することもあるのです。
宇宙に滞在(たいざい)していると、3ヶ月で約16%もの血液が減ってしまいます。
これを「宇宙貧血(うちゅうひんけつ)」と言います。
このまま地球に帰還(きかん)すると立ちくらみや失神(しっしん)をしてしまうことがあります。
宇宙飛行士は、地球に帰還する前に、約1リットルもの、塩分を含んだ飲料水(いんりょうすい)を飲みます。
塩分(えんぶん)の含まれるナトリウムが血液(けつえき)の量を増やしてくれるのです。
○まとめ
・人類が、月面着陸に成功できたのは、宇宙服の開発(かいはつ)が進んだから。
・宇宙服内では、酸素もあり、宇宙空間でも、快適に作業を行えるように、温度も調整できるようになっている。
・宇宙空間には空気(=酸素)がほとんどなく、日かげと日なたの温度差は200度以上ある。
・その上、宇宙には多くの太陽からの放射線やチリが飛びかっているなど、さまざまな危険がある。
・宇宙服は、人間を守ってくれるもので、いわば小型の宇宙船である。
・宇宙の真空状態、熱環境、宇宙の塵などから身を守る。
・どんな作業条件でも、宇宙服内の温度・湿度を一定に保つ。
・酸素を供給する。
・人間の呼吸によって生じる有害な二酸化炭素を除去する。
・宇宙船や地上の管制官との音声通信を行う。
・宇宙塵、紫外線などの有害なものから防護する。
・宇宙服は約120kgの重さになる。
・宇宙服の生地は14層で構成されている。
・生命維持装置は、宇宙服の内部気圧と温度をコントロールし、酸素や電力を供給している。
・アメリカで開発した宇宙服の値段は、アセンブリといわれる本体と生命維持装置をあわせると、なんと10億5000万円とも言われている。
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