星の王子様の本の作者は砂漠を愛していた!?
皆さん「星の王子様(おうじさま)」という本は、ご存じでしょうか。
この作者は、フランスの飛行士で小説家でもあるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリという人です。
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彼の代表作である「星の王子様(おうじさま)」は、1943年にアメリカで出版(しゅっぱん)されている。
この小説は、初版以来200以上の国と地域で翻訳(ほんやく)され、世界中で総販売部数(そうはんばいぶすう)1億5千万冊を超えるロングベストセラーの小説なのです。
(イラスト:twitter.com)
この「星の王子様」という作品は、子ども向けの本としていますが、実は大人向けの本としても、大変共感(きょうかん)を覚える作品となっています。
子どもの心を失ってしまった、大人向けの小説なのかも知れません。
○「星の王子様」のあらすじ
飛行機(ひこうき)を操縦(そうじゅう)する「ぼく」という少年が、サハラ砂漠に不時着することのなった。
「ぼく」という少年は、翌日一人の少年と出会う。
その少年が、ある小惑星(しょうわくせい)からやってきた王子であることを知る。
その星は、家ほどの小さな星で、3つの火山と根(ね)を張(は)って巨大(きょだい)なバオバブの木、よその星からやってきた1輪のバラの花があるだけ。
(イラスト:www.yam-mag.com)
ある日、その1輪のバラの花と喧嘩(けんか)した王子は、他の星を見に行くために旅にでる。
それから、いくつもの星を旅することになる。
6番目の星にいた学者が、7番目の星である地球に向かうことを勧められる。
地球の砂漠に降り立った王子は、「ぼく」という少年に会うことになる。
そこで王子は「ぼく」に、いろいろな体験(たいけん)を聞かせるのであった。
地球の高い火山を見たり、数千本のバラの花を見て、自分の小惑星の火山やバラは、つまらないものであったのかと思い嘆(なげ)いた。
しかし、そこにキツネが現れさまざな教訓(きょうくん)を教えてもらうである。
そして、自分が美しいと思い精一杯(せいいっぱい)の世話(せわ)をしたバラはやはり愛(いと)おしく、自分にとって一番のバラであることを悟(さと)る。
キツネと別れるときに、王子はキツネと仲良くなっていることに気づく。
別れの悲しさに、こんなに別れが悲しいのなら、仲良くならなければ良かったと思うようになる。
(イラスト:societas.blog.jp)
キツネは別れ際(ぎわ)、王子に「大切なものは、目に見えないんだよ」ということを、教わるのである。
王子が地球にきて1年になるころ、奇跡的(きせきてき)に「ぼく」の飛行機(ひこうき)が直(なお)り、王子は1年前と同じ星の配置(はいち)になっていた。
王子が、ヘビに噛(か)まれると自分の小惑星(しょうわくせい)に帰れるということを知った。
王子はヘビに噛(か)まれ、砂漠に倒れた。
翌日王子の体は跡(あと)かたもなかった。
自分の星に帰ったことを悟った「ぼく」であった。
「ぼく」は王子が帰る間際(まぎわ)に言ったことを思い出す。
「自分は自分の星に帰るのだから、きみは夜空を見上げて、その星が自分に笑っていると想像すればいい。そうすれば、君は星全部が笑っているように見えるはずだから」という言葉を思い出すのであった。
○「星の王子様」の作者はどんな人?
「星の王子様」の作者は、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリというフランスの飛行士で小説家です。
サン=テグジュペリは、飛行機のパイロットで、砂漠を愛した人なのです。
(写真:アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ)
サン=テグジュペリは、フランスで貴族の家で生まれ、なんの不自由(ふじゆう)もなく暮(く)らしていた。
彼が4歳のときに父を亡くし、母と兄弟といっしょに、子ども時代を過ごす。
やがて大人になり、軍隊に入り飛行機の操縦を教わるのであった。
小説を書き始めたのも、この頃になる。
その後彼は、郵便会社(ゆうびんがいしゃ)で飛行機のパイロットとなり、砂漠(さばく)の多い北アフリカを飛行するようになる。
(写真:kakugen.biz)
砂漠(さばく)に飛行機が不時着(ふじちゃく)して、救助(きゅうじょ)されるまで、砂漠で数日間(すうじつかん)、歩くこともありました。
そこで丸太小屋で暮らし、藁(わら)を敷(し)いて寝(ね)るような生活(せいかつ)をおくっていました。
子どものころの、お屋敷での暮らしとは、大違いのものでした。
しかし彼は、そんな生活に満足だったのです。
彼は、このような砂漠の中で暮らすことが、とても好きだったのです。
彼は「私が、砂漠に住むようになるまで、こんな家をいいものだと思ったことはない」と語っている。
砂漠(さばく)から救助(きゅうじょ)された後も、世界のあちこちを飛びまわり、命が危なくなるような体験()たいけんを何度(なんど)もしていました。
こうした経験をもとに、やがてサン=テグジュペリは、飛行機に乗る人たちを登場人物(とうじょうじんぶつ)にした、物語(ものがたり)を書くようになっていきます。
その物語が「星の王子様」なのです。
(イラスト:minne.com)
第二次世界大戦(だいにじせかいたいせん)でフランスが戦争に参戦(さんせん)してから、サン=テグジュペリは、軍隊(ぐんたい)のパイロットとして戦闘機(せんとうき)に乗っていました。
「星の王子様」は、そんなときに出版されているのです。
1944年に、サン=テグジュペリは地中海(ちちゅうかい)の島からフランスに向けて出発してから、消息をなくすことになります。
彼の飛行機(ひこうき)に何が起こったのか、長年(ながねん)謎(なぞ)とされていました。
しかし最近になって、海の中から墜落(ついらく)した飛行機(ひこうき)が引き上げられ、サン=テグジュペリは敵の飛行機に撃(う)ち落とされたということが、分かったのです。
撃ち落とした飛行士は、「彼だと知っていたら、撃(う)たなかった」とドイツのパイロットは後に語っている。
ドイツ軍のパイロットもまた、彼の愛読者(あいどくしゃ)だったのです。
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○「星の王子様」名言
「星の王子様」の小説には、いくつも心に響(ひび)く名言(めいげん)が多いのです。
子どもに「○○すべきだ」、「○○はしてはいけない」など、知らず知らずの間に、頭が固(かた)くなった大人の心に響(ひび)くお話しとなっています。
一度この本を読むと、少しでも子どもの接し方が変わるといいですね。
おとなは数字が好きだから。
新しい友だちのことを話しても、
おとなは、いちばんたいせつなことは何も聞かない。
「どんな声をしてる?」とか
「どんな遊びが好き?」
「蝶のコレクションをしてる?」とか
いったことはけっして聞かず、
「何歳?」
「何人きょうだい?」
「お父さんの収入は?」など聞くのだ。
おじさんは、
一度も花の香りをかいだことがなかった。
星を見たこともなかった。
誰も愛したことがなかった。
たし算以外は、なにもしたことがなかった。
一日じゅう、きみみたいに繰り返してた。
『大事なことで忙しい! 私は有能な人間だから!』
そうしてふんぞり返ってた。
でもそんなのは人間じゃない。キノコだ!
ぼくは花の持ち主だったから、
毎日水をやってた。
三つの火山の持ち主だったから、
毎週煤(すす)のそうじをしていた。
火の消えたのも、そうじしていた。
用心にこしたことはないものね。
だから火山にとっても花にとっても、
ぼくが持ち主で、役に立っていた。
でもあなたは、星の役には立っていない……。
でもぼくには、
ばかげて見えないのはあの人だけだ。
それはきっとあの人が、
自分自身以外のことを
いっしょうけんめいやっているからだろう。
子どもたちだけが、
なにをさがしているのか、
わかってるんだね。
子どもたちは、
ぼろきれのお人形に時間を費やす。
だからそのお人形はとっても大切なものになる。
それでとりあげられると泣くんだね。
でもきみがぼくをなつかせたら、
ぼくらは互いに、
なくてはならない存在になる。
きみはぼくにとって、
世界でひとりだけの人になる。
ぼくもきみにとって、
世界で一匹だけのキツネになる。
なつかせたもの、絆を結んだものしか、
ほんとうに知ることはできないよ。
人間たちはもう時間がなくなりすぎて、
ほんとうには、なにも知ることができないでいる。
なにもかもできあがった品(しな)を、店で買う。
でも友だちを売ってる店なんてないから、
人間たちにはもう友だちがいない。
きみも友だちがほしいなら、
ぼくをなつかせて!
きみのバラをかけがえのないものにしたのは、
きみが、バラのために費やした時間だったんだ。
人間たちは、こういう真理を忘れてしまった。
でもきみは忘れちゃいけない。
そのうち悲しい気持ちがやわらいだら
(悲しい気持ちは必ずやわらぐよ)、
ぼくと知り合ってよかったって思うよ。
きみはずっとぼくの友だちだもの。
とてもかんたんなことだ。
ものごとはね、
心で見なくてはよく見えない。
いちばんたいせつなことは、目に見えない。
地球の人たちって、
ひとつの庭園に、
五千もバラを植えてるよ……
それなのに、
さがしているものを見つけられない……。
だけどそれは、たった一本のバラや、
ほんの少しの水のなかに、
あるのかもしれないよね。
どこかの星に咲いてる一輪の花を愛していたら、
夜空を見あげるのは、
心のなごむことだよ。
星という星ぜんぶに、
花が咲いてるように見える。
おとなだって、
はじめはみんな子どもだったのだから。
(でもそれを忘れずにいる人は、ほとんどいない。)
空を見あげてみてほしい。
そしてこうたずねてみてほしい。
「あのヒツジはあの花を、食べたかな、
食べてないかな?」
するとなにもかもが変わって見えるのが、
きみたちにもわかるだろう……。
でもそれがどんなに大事なことか、
おとなには、ぜんぜんわからないだろう!
○まとめ
・「星の王子様」の作者は、フランスの飛行士で小説家でもあるアントワーヌ・ド・サン=テグジュペリという人である。
・初版以来200以上の国と地域で翻訳され、世界中で総販売部数1億5千万冊を超えるロングベストセラーの小説である。
・子どもの心を失ってしまった、大人向けの小説なのかも知れない。
・サン=テグジュペリは、フランスで貴族の家で生まれ。
・やがて大人になり、軍隊に入り飛行機の操縦を教わる。
・その後彼は、郵便会社で飛行機のパイロットとなる。
・砂漠に飛行機が不時着して、救助されるまでの数日間の体験が後の「星の王子様」という小説の土台となった。
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