凶悪犯罪で時効が廃止された!
時効とは、一定期間過ぎて権利や効力が無効になることを言います。
犯罪においては、事件は無効になると、検察官は事件として犯人を捕まえることができなくなるのです。
時効が過ぎてから、犯人が見つかっても逮捕されないため、警察の捜査も打ち切られてしまいます。
ここで、なぜ時効があるのでしょうか?
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考え方は、さまざまですが、事件が経過し時間が経つと証拠の発見が困難となる。
また罪を犯した犯人も、時効まで反省するので刑罰の効果が薄れるなどの理由によるものとされています。
アメリカやイギリスなどでは、殺人事件など凶悪犯罪については時効はありません。
そこで日本も、凶悪な事件に時効があるのはおかしいという被害者の遺族などの声を受けて、2004年に殺人事件について時効が、一部延長されています。
2010年には、殺人事件で死刑にあたる罪の「時効は廃止」となっています。
死刑以外の罪についても、時効の期間が延長されることになりました。
○「時効廃止」は即日施行だった!
殺人など凶悪犯罪の公訴時効の廃止や延長を盛り込んだ、改正刑事訴訟が2010年4月27日に衆院本会議において、賛成多数で成立した。
政府の持ち回り閣議を経て、異例の即日施行となったのです。
そして、時効が未完成の過去の事件においても、適用されることになったのです。
当時民主党政権で、法務大臣を務めていた千葉景子法相が、「なるべくすき間が生まれないように」ということで、政府内で持ち回り閣議が実施され、成立から約4時間後の午後5時半に官報の「特別号外」を発行し、異例の即日施行となったのです。
(写真:千葉景子_ja.wikipedia.org)
その結果、1995年の岡山県の夫婦殺害放火事件が、28日に時効を迎える見込みだったのですが、時効が撤廃されたのです。
過去15年間に起きた殺人事件や強盗殺人の未遂事件で現在時効が完成していないものについて、95年東京都八王子市のスーパーで起きた女子高生らの射殺事件など、370件はいづれも時効廃止の対象となった。
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○時効廃止を受けて、その他の犯罪についても延長
改正刑事訴訟法は、殺人や強盗殺人など、最高刑において死刑となる罪の時効は、改正前は25年となっていましたが、それを撤廃となりました。
(写真:www.shokugyou.net)
また、最高刑が無期懲役以下の人を死亡させた罪の時効については、原則として2倍に延長され、強姦致死傷は15年から30年に、障害致死罪や危険運転致死罪については、10年から20年にぞれぞれ延長されることなった。
○憲法39条の「遡及処罰の禁止」に違反してないの?
しかし、1995年に犯罪を犯した者を、2010年に法改正があったからと言って、罪に問えるのだろうか。
それについても、被告人に対して弁護士が反対裁判を起こしているのです。
憲法39条に『遡及処罰(そきゅうしょばつ)の禁止』が定められていています。
『何人も、実行の時に適法であった行為(中略)については、刑事上の責任を問われない』
とされているのです。
その憲法39条に違反しているのでは、ないかという議論がされています。
2010年の刑事訴訟法改正によって、改正法の施行時に時効が完成されていない場合、今回の改正法が適用される。
1997年当時の法律だと強盗殺人の公訴時効は15年なので、本来2012年に時効が完成するはず。
それなのに、強盗殺人は時効にかからないという改正法を適用したのは、「遡及処罰の禁止」に反していると、被告側は主張したのです。
しかし、違憲ではないとした最高裁は判断を下している。
ポイントしては、時効という逃げ場を許さないという、今回の違憲ではないとした理由されている。
「公訴時効は、犯罪に当たる?為をしても一定の期間を逃げおおせれば自由になることを保障するものでない。」
という、犯罪者に対して厳しい結果となったのです。
○まとめ
・時効とは、一定期間過ぎて権利や効力が無効になることを言う。
・時効になると、検察官は事件として犯人を捕まえることができなくなる。
・事件が経過し時間が経つと証拠の発見が困難とされている。
・アメリカやイギリスなどでは、殺人事件など凶悪犯罪については時効はない。
・2010年には、殺人事件で死刑にあたる罪の「時効は廃止」となった。
・死刑以外の罪についても、時効の期間が延長されることなった。
・「時効廃止」の法案は、異例の即日施行だった。
・憲法39条の「遡及処罰の禁止」に違反してないの?
・時効という逃げ場を許さないという、今回の違憲ではないとした理由された。
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