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厄介モノの「フジツボ」、実は珍味な高級料理だった!

フジツボは、磯辺の岩場などにびっしりと張り付いている生き物である。

時には船底やロープなどに付着したり、養殖ホタテの貝殻に付着したりして、漁師の間では厄介モノとして、フジツボを捨てていた。

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19世紀にはじめは、フジツボは貝などと同じ軟体動物であると考えられていた。

しかし1829年頃、ある研究者によってエビやカニなどの甲殻類として分類されるようになった。

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フジツボは蔓(つる)のような形の脚を持つことから、蔓脚類とよばれ、脚には多くのフサフサした毛がついている。

そのフサフサした脚の毛を利用して、海中のプランクトンを誘い込み、食べているのである。




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フジツボは「雌雄胴体」で、つまりオスとメスでもある生き物である。
他の仲間の遺伝情報を取り入れるため、交尾をして繁殖している。

しかし、この厄介モノのフジツボであるが、いろいろな分野で見直しされてきている。

どうして、厄介モノのフジツボをただ捨てるのはもったいない、うまく料理して食べることができないのか。

また、海中なのにフジツボは、なぜ岩場に張り付くことができるのだろうか。

そんな考え方に変わってきている。

○厄介モノのフジツボ、実は高級料理だった!

フジツボは貝類と思われていたが、実はウニやエビやカニのように、甲殻類である。

フジツボは、カニの仲間で、カニ料理として食べられている。

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フジツボを茹でると魚介類を凝縮したような濃厚な旨味に、香り高い風味が口の中いっぱいに広がるという。

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青森の料理人によってフジツボの調理方法が考案された。

これは、「青森の料理人が変えた!海のやっかいモノ-隠れた高級珍味フジツボ」として、紹介されている。

今では、首都圏の高級料亭からも引き合いがあるほど、高級食材に生まれ変わった。

フジツボ料理の旬は、7月から10月頃だと言う。




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○フジツボの粘着力が歯科医療で活躍!?

どうして、フジツボは磯辺の岩場に張り付くことができるのか?

私たちが、普段使っている接着剤は空気中でしか使うことができない。
海中で接着剤を使っても、すぐに剥がれてしまう。

しかし、フジツボは海中でいろいろな表面にしっかり接着することができる

漁師さんのやっかいな船底やロープなどにも付着することができるのである。

フジツボ自身が死んでも、その接着力はそのままで、最近ではその接着能力に注目が集まっている。

現在では耐水性の接着剤は開発されているが、何でもどこでも接着するというものではない。

フジツボは90%以上がタンパク質で出来ていて、複数のタンパク質の複合体であることが明らかになっている。

タンパク質は20種類のアミノ酸が結合してできている。

アミノ酸の中にジスルフィド結合(※1)という特殊な結合をするシステイン(※2)や、電荷を持ったアミノ酸が多いことが分かった。

※1 2組のチオールのカップリングで得られる共有結合。
※2 アミノ酸の1つで、2-アミノ-3-スルファニルプロピオン酸のこと。

フジツボの持つ海中で強力な接着能力に、重要な役割を果たしていると考えられるようになった。

またフジツボの接着力は非常に強力で、-195℃まで冷やしても、350℃まで熱しても剥がれることはなく、

フジツボの接着剤を1ヘイホーセンチ塗るだけで、300kgの重さにも耐えることができるという。

○フジツボの持つ接着力を利用したもの

水中や海中で、接着力が高いとされる、フジツボの接着力がかわれ、歯科医療分野でも使われ始めている。

歯の充填物に恒久的に使用できる接着剤として、フジツボの接着剤を合成することで、

歯科技工のために役立てようと考えたのが、最初の取り組みとされている。

ただ、水中や海中での接着性についての分子レベルでの研究は始まったばかりである。
このように、厄介モノだったフジツボであるが、見方を変えれば実用的な接着剤になったり、珍味奈高級食材になったりする。

これこそ、捨てていたモノが、実は宝物だったということである。




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