冷蔵庫が冷やす仕組みは気化熱だった!
私たちの暮らしの中で、なくてはならない冷蔵庫ですが、夏でも冷たいジュースやアイスクリームが食べられるのは、冷蔵庫のおかげですね。
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また食品を冷凍庫に置くことで、長く食品を保つことができます。
夏などは、食品を買って冷蔵庫に保存しておかないと、すぐに食品が腐ってしまいます。
冷蔵庫が発明される前は、冬に雪を集めておいて、雪穴にしまっておいたのです。
この雪穴の倉庫のようなものを日本では「氷室(ひむろ)」と呼ばれ、昔から利用されていました。
(写真:氷室の雪詰め(仕込み))
このように自然界の雪や氷を使って冷やすことを使わずに、人工的に冷やす技術が考えられたのは、今から200年くらい前のことになります。
○冷やす仕組み
冷やす技術の発端となったのは、例えば注射をするときに、アルコールで消毒しますが、このとき「冷っと」としますよね。
これはアルコールが蒸発するときに、肌の熱をうばうことで、「冷っと」するのです。
(イラスト:www.meti.go.jp)
この「冷っと」する性質を使って、物を冷やすことができないだろうかと考えたのが、今の冷蔵庫の考え方になります。
しかし実際に、今の冷蔵庫を作るには、そう簡単なものではありませんでした。
ガスが液体から気体に変化するときに、周りの熱をうばう特徴があります。
これは夏暑いときに庭に水をまくことを「打ち水」と言いますが、涼しくなりますよね。この技術がもとになっています。
(イラスト:www.kamakura-ss.co.jp)
水が気化する温度は、100℃と教わったと思いますが、実際庭に水をまくと100℃にならなくても、乾いています。
これは水の分子レベルの運動エネルギーが大きく関係してきます。
周りの温度が20℃でも、分子中に100℃の温度以上に相当する分子レベルのエネルギー(スピード)を持つことがあります。
だから水が100℃にならなくても、液体から気体になるのです。
ちょうど汗をかいたときに、服を脱ぐと湯気のようなものが出ていることがあります。これと同じなのです。
この分子レベルの運動エネルギーを応用したのが、電子レンジになります。
しかし、水が気化するには相当のエネルギーを必要とします。そこで、気化する温度が低い冷媒などを使用することになっているのです。
○冷蔵庫の冷やす仕組み
ここで一番大きな問題は、どうやってうまく液体を蒸発させるか、そして蒸発してできたガス(気体)をどう使うかということです。
皆さんが家にある冷蔵庫は、液体から蒸発したガス(気体)をぎゅっと圧縮して、もう一度液体に戻してやる仕組みとなっているのです。
(図:itpro.nikkeibp.co.jp)
だからいつでも、液体→気体→液体→気体→・・・というように、循環して冷やし続けることができるのです。
(イラスト:www.mhi.co.jp)
人昔は冷やすための冷媒に、「フロン」を使用していましたが、オゾン層を破壊するということで、1985年には国際的な取り組みとして、「オゾン層保護に関するウィーン条約」が合意され、1987年には具体的にフロン規制が、採択されました。
今は冷媒に「ノンフロン」を使用することになっています。
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○電気冷蔵庫の普及
日本で最初に冷蔵庫が作られたのは、1923年と言われています。当時に冷蔵庫は、まだ値段が高くて、庶民にはあまり売れるものではありませんでした。
当時はまだ冷蔵庫の代わりに、木の箱に氷を入れて中を冷やすというものが主流でした。
(写真:toyokyoudos.cocolog-nifty.com)
これに使う氷は、氷屋さんが配達してくれていたのです。
1964年東京オリンピックを境に、「三種の神器(冷蔵庫・洗濯機・テレビ)」と呼ばれ、電気冷蔵庫が急速に家庭に普及することになっていきます。
(写真:三種の神器 blog.goo.ne.jp)
今では、ほとんどの家庭に電気冷蔵庫があります。そしてあまり電気をくわない冷蔵庫など、環境にやさしいエコな冷蔵庫も登場してきています。
○冷蔵庫の選び方のポイント
・容量で選ぶ
まず冷蔵庫の選び方のポイントしては、家族の人数によって冷蔵庫の容量(=大きさ)を考えなくてはなりません。
1人当たりの容量を70Lとして、そこに家族の人数を掛けます。
4人暮らしの場合、70L×4人=280L となります。
そこに冷凍庫に保存するために常備品としての容量を100Lとすると、450Lが4人家族で使用する冷蔵庫の容量となります。
・使い勝手で選ぶ
冷蔵庫のドアの開き方にも、いろいろあります。
ドアにも食品などを入れて、すぐに食品を取り出せるようにするためです。
家庭で使われる冷蔵庫は片開きが、ほとんどでありますが、扉が大きく開くので、扉の幅と同じスペースが必要になります。
狭いスペースだと、食品を取り出す度に周りこんで取り出さなくてはなりません。
(写真:www.yamada-denkiweb.com)
両開きの場合、左右どちらでも扉を開け閉めできるので、便利です。
また扉を開くスペースも小さいため、利便性もあります。
しかし、扉のスペースが小さいため、あまり大きな食品を置くことができなデメリットもあります。
(写真:news.kakaku.com)
・冷蔵庫の構造で選ぶ
冷蔵庫の構造で選ぶ場合は、一番下が冷凍庫、中間が野菜室、一番上が冷蔵庫というような構造が、より良い構造と言えます。
野菜を使って頻繁に調理する場合は、野菜室が中央段にある物がお勧めです。楽な姿勢で野菜などを気軽に取り出すことができるからです。
夏などに氷をよく使う場合、製氷室があれば便利です。
製氷室は、独立タイプのものがお勧めで、出し入れの際に他の食品の匂いが氷につくこともありません。製氷は自動で行ってくれるものが良いでしょう。
その他としては、チルド室/パーシャル室になりますが、これは冷蔵庫の大きさを考えて、使用するか検討した方が良いでしょう。
チルド室は、凍結しない程度の低温(0℃~1・2℃程度)で凍る直前の状態で保存します。食材を凍らせて解凍した際に、繊維を壊すことがあるので、食品の品質を落とす心配がありません。
パーシャル室は、微凍結の低温(-3℃~1℃)で保存します。食品を完全に凍らせずに、食品の細胞を壊さず、鮮度を長持ちさせます。
○まとめ
・冷蔵庫がなかった時代、「氷室」と呼ばれる雪穴に食品を保存していた。
・冷やす仕組みの根本は、「気化熱」にあった。
・水は100℃にならなくても気化する。それは分子レベルの運動エネルギーにあった。
・冷蔵庫は、水よりも気化する温度が低い冷媒が使用されている。
・冷蔵庫の普及は、1964年東京オリンピックを境に、「三種の神器」として普及するようになった。
・冷蔵庫を選ぶポイントしては、家族の人数による冷蔵庫の容量、使い勝手、冷蔵庫の構造で選ぶ。
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