歩いて充電できる「振動発電」は実用化されているの!?
皆さん「振動発電」という言葉は聞いたことはないでしょうか。
振動発電(しんどうはつでん)とは、圧電素子(あつでんそし)などを使って、振動を電気に変換する発電のものです。
皆さんが普段歩いたり、走ったりしても電気をつくることができる、とってもエコな発電システムなのです。
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皆さんが歩きながら充電できたらいいなー!と思ったことはないでしょうか。
実際には、振動により電気を発生させ、スマホの携帯などに利用されている製品があるのです。
ワールドカップ以降、サッカー人気が高まりJ1リーグで本格導入されているのです。
インターネットサービス企業の楽天とヴィッセル神戸の試合で、ホームズスタジアム神戸にて床発電システムを本格導入しているのです。
これはサポーターの応援時のジャンプによる振動を利用して、発電に活かすというもので、サポーターのシートに24席設置されている。
(写真:発電床_sai.naganoblog.jp)
この床発電システムの本格導入は世界初の試みで、熱いサポーターの応援で、発電してしまおうというものです。
また車が頻繁(ひんぱん)に通る、高速道路にも既に本格導入され、実用段階まできているのです。
○振動で電気がつくれるって本当!?
音楽のCDを聴くときに使うステレオのスピーカーは、電気信号を振動に変えて、音を出しています。
その逆にスピーカーを使って、振動から電気をつくることはできないか?
そんな発想から生まれたのが「振動力発電」なのです。
高速道路を走る車などの振動から電気をつくり出す、ユニークな発電方式です。
○振動発電によって何に利用されているの?
振動力発電は、圧力が加わると電力が生まれる「圧電素地(あつでんそじ)」を利用しています。
高速道路の路面に圧電素地を組み込んだ発電ユニットを設置し、車が走行したときの振動によって圧電素地がゆがみ、電気を発生します。
(イラスト:www.soundpower.co.jp)
その発電によってつくられた電気は、高速道路の電灯などに使われている他、今後は非常用や防犯用の電灯としての利用も期待されています。
○振動発電のメリットとは?
振動は私たちの暮らしの中で、いろいろな振動があります。
(イラスト:vibpower.w3.kanazawa-u.ac.jp)
・車の車体の振動
・自転車を走行したときのフレームの振動
・ジョギングなどをしたときの靴底の振動
・波や水の流れの振動
・工場の機械や橋の振動
・など
リモコンなどに使われて電池は、使わなくても消耗してしまい、いざ使うときに、リモコンが使えないということもあります。
振動力発電では振動によって発電するので、リモコン操作で振動することで、電気を発生し電池いらずのリモコンができるかも知れません。
家で毎日電動歯ブラシを使っている方もいると思いますが、電動歯ブラシの振動で電気を発生させ、振動させるために電気を消耗し、歯ブラシが振動することで、電気に還元するような、電池いらずの電動歯ブラシが誕生するかも知れません。
今後電池の交換も必要なくるかも知れません。
皆さんが子どもの靴で、歩くと光る靴を見かけたことはないでしょうか。
これは、2008年にNTT環境エネルギー研究所が開発した靴なのです。
この仕組みは、小型の水力発電機を内臓し「発電靴」として試作したものです。
つま先とかかとの2カ所に可塑性(かそせい)の水タンクを配置し、パイプで結んだもので、歩行時の体重移動で水タンクが変形すると水流が発生し、1.2W程度出力し発光する仕組みなのです。
圧電素子を使っ「発電靴」も販売されています。
(写真:光る靴_www.dena-ec.com )
これは振動を利用して発電する、事例となります。
○振動発電のデメリットとは?
デメリットとしては、電気を振動するには大きな電気が必要になります。
その逆に振動から電気をつくるのは、非常に微弱(びじゃく)な電気となってしまうのです。
「電気→振動=1:振動→電気=1」が理想的な電力消耗(でんりょくしょうもう)と電力供給になります。
しかし、電気を使う量よりも電気をつくる量はとても小さいので、消耗する量>供給する量となってしまっているのです。
振動から電気をつくる量を増やす技術をあげるか、電気を消耗する電力量の小さい製品の開発が、今後の課題となるでしょう。
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○振動発電の種類はどんなものがあるの?
振動発電には、圧電式、電磁誘導式、静電式の3つがあります。
(1)圧電式
圧電式は圧電材料が振動により、変形する際に発生する電位差(でんいさ)を電力として回収する方式です。
発電量が少なく、材料の変形による劣化(れっか)が欠点とされている。
現在では、圧電素子の開発が進み、液体金属を使って最大20Wを発電できる圧電素子もあります。
実例として、圧電式素子を使った高速道路向け実用化されている。
(2)電磁誘導式
(図:電磁誘導型発電機の構成_sakura.sensing-db.net)
電磁誘導式は回転式発電機を使っている。大きな電力が得られるものの、機器の小型化が難しいとされています。
電磁誘導とは、コイルに磁石を近付けたり遠ざけたりすると、コイルに電流が流れ電気を発生させるというもので、この原理を振動により電気を発生させる仕込みに応用しているのです。
電磁誘導式の歴史は古く、1988年にセイコーエプソンが開発した発電機能を搭載(とうさい)した腕時計を発売している。
(写真:セイコーエプソンが実用化した自動巻き発電クオーツ)
これは、振動により電気を発生させ、腕時計のゼンマイを巻くのに使うというものです。
昔は、自動巻き腕時計がありましたが、今でも高級腕時計として使っている方もいます。
この自動巻き腕時計は、振動により中のゼンマイが自動で巻き上げられるという仕組み。
それを振動によりゼンマイを巻くのではなく、振動により電気を発生させ、ゼンマイを巻いているのです。
(3)静電式
(図:静電式振動発電機_eetimes.jp)
静電式の発電機は、2つの平面上の基板が互いに向き合った構造で、片方の基板には電荷(でんか)を帯びた材料を配置し、もう片方の基板には、対向電極を置く。
振動によって電荷と対向電極の位置関係がずれることで、起電力が生じ電気をつくることができるという仕組みです。
○歩行で発電できる、歩きスマホが可能!?
ポケットに入れておいて、歩く振動で発電し充電できる製品が、実際には発売されいるのです。
その製品がパーソナル発電機として、通称「nPower PEG」という製品で、販売されています。
(写真:nPower PEG_www.gdm.or.jp)
中身はおもり、スプリング、誘導コイルとバッテリーでできている。
ポケットに入れて人間が動くと、おもりが上下して発電し、内臓バッテリーに電気を蓄えるというもの。
nPower PEGにはUSBケーブルとmicro USBアダプターがついていて、夜のジョギングや、山の登山・ハイキングの出かけた後は、バッテリーに溜めた電気を使って、携帯やその他の製品に使うことができるのです。
また毎日の通勤や営業で歩くことで、電気を溜めておけるので、健康でエコな充電システムとも言えるのです。
○まとめ
・振動発電とは、圧電素子(あつでんそし)などを使って、振動を電気に変換する発電のもの。
・振動により電気を発生させ、スマホの携帯などに利用されている製品がある。
・サッカーのJ1リーグで、床発電システムを本格導入されている。
・振動発電は、高速道路にも既に本格導入され、実用段階まできている。
・発電によってつくられた電気は、高速道路の電灯などに使われている。
・デメリットとしては、振動から電気をつくるのは、非常に微弱な電気となってしまう。
・振動から電気をつくる量を増やす技術をあげるか、電気を消耗する電力量の小さい製品の開発が、今後の課題。
・振動発電には、圧電式、電磁誘導式、静電式の3つがある。
・歩行で発電できる、歩きスマホが可能。
・毎日の通勤や営業で歩くことで、電気を溜めておけるので、健康でエコな充電システムとも言える。
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